訪問介護

訪問介護とは、介護保険法に基づくサービスの一つで、訪問介護員が要介護状態になった人の自宅を訪問し、食事・排泄・入浴などの介護(身体介護)や、掃除・選択・買い物・調理など生活の支援(生活援助)をするサービスです。

また通院などを目的とした乗車・移送・降車の介助サービス(通院等乗降介助)のサービスもあります。

*通院等乗降介助を算定する事業所を運営する法人は、道路運送法上の許可が必要です。


介護保険サービスとしての訪問介護

介護保険サービスは、サービスの種類ごとに定められた事業運営の基準を満たすものとして指定を受けた事業所・施設が提供するものです。訪問介護事業者も指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準に基づき指定を受けてサービスの提供を実施します。

訪問介護事業に限らず、介護保険サービスの指定をうけるには法人格を有していなければならず、その定款の目的に実施事業の名称が記載されていなければなりません。

訪問介護事業の指定基準

 

人員に関する基準

 ①管理者 

管理者は、事業所の従業者の管理及び業務の管理を一元的に行います。

常勤・専従(支障がないときは兼務可)

員数 : 1人

資格要件:特にありませんが、職務の性格上、介護事業の経験者が好ましいです。

 

②サービス提供責任者

サービス提供責任者は、事業所に対する利用の申込みを調整し、訪問介護計画の作成等を行います。また訪問介護員等に対する教育計画、技術指導を行い、相談に応じることもします。

 

常勤・専従(管理者との兼務可)

員数 : 利用者の数40人又はその端数を増すごとに1人以上

【例】

利用者40人以下 ⇒ 常勤1人 

利用者40人超80人以下 ⇒ 常勤2人

【参考】  
サービス提供責任者は、常勤が基本ですが、 一定の場合に非常勤職員とすることができます。

資格 : 介護福祉士・実務者研修修了者

(旧)介護職員基礎研修課程修了者・(旧)1級課程修了者 等

 

③訪問介護員

  常勤換算法で2.5人以上

 

*人員基準の確認書類

 「経歴書」「従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表」「資格証」「修了証」など 

 

 

介護予防訪問介護事業との関係

訪問介護事業と介護予防訪問介護事業が同一の事業所において一体的に運営されている場合は、訪問介護の基準を満たすことで介護予防訪問介護の指定基準も満たすことになります。 (人員基準)

障害福祉サービスの居宅介護事業との関係

訪問介護又は介護予防訪問介護事業を行う者が居宅介護事業を同一の事業所で行う場合、訪問介護等の指定を受けていることをもって居宅介護の基準を満たしていると判断されます。(解釈通知)

但し、居宅介護事業の指定は、当該担当課で別途取得することになります。

 

設備に関する基準 

①事業の運営に必要な広さのある専用の区画

②訪問介護を行うに必要な設備

 

 *設備基準の確認書類

  「登記事項証明」「賃貸借契約書」「図面」など

   賃貸借契約書の場合は使用目的が事業用になっていなければなりません。

 

運営に関する基準

①内容及び手続きの説明及び同意

②提供拒否の禁止

③サービス提供困難時の対応

④受給資格等の確認

⑤要介護認定の申請に係る援助 ほか

 

 *運営基準の確認書類

 「運営規程」「利用契約書」「重要事項説明書」など 

 

訪問介護の指定申請

指定は都道府県、指定都市、中核市が行います。

指定申請のスケジュールは

奈良県の場合

事前相談→指定月の前々月末に指定申請書の受理→指定月の前月に書類審査・現地調査→指定月1日に指定

となっています。

【例】4月1日に指定を受けたいときは2月末までに申請が受理されること

事業を実施しようとする自治体のHPでご確認ください。


現実には、訪問介護事業のみを実施している事業所さんは少数派かもしれません。

居宅介護事業・通所介護・福与用具その他の施設系と複合的に運営しておられるケースが多く見受けられます。

そうなると、ややこしいのが人員基準です。兼務する職員さんがいらっしゃるからです。

指定を受けたあとも、人員基準を満たし続けるには、ちきんとした勤務管理体制が重要です。