街をいくと 「○○介護タクシー」 と表示のある車両を良く見かけます。
これは道路運送法による許可を受けた「福祉限定」で運行することができるタクシーです。
介護タクシーは道路運送法に基づく運送事業にあたります。
許可が数書類あるので、お客様のご様子から、どの許可を取得すればよいのか、わかりづらいようです。
ここでは
「訪問介護事業所が通院等乗降介助を算定するために介護タクシーを始める場合」
に絞って要件等をご紹介します。
訪問介護事業者が通院等乗降介助を算定するために、まず必要なのは、
一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業)の許可か特定旅客自動車運送事業の許可です。
この「一般」と「特定」のどちらを取得すばよいのか、どちらが取得できるのか?
2つの要件を比較してみましょう。
一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業) 4条許可 |
特定旅客自動車運送事業 43条許可 |
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申請者 |
個人・法人ともに申請可能 |
指定訪問介護事業者 |
利用者 |
①身体障害者手帳の交付を受けている人 ②要介護認定を受けている人 ③要支援認定を受けている人 ④肢体不自由、内部障害、知的障害、 精神障害等により単独でタクシーその他の 公共交通機関の利用が困難な人 ⑤消防機関等と連携して患者の搬送サービス を受ける人 |
①要介護者であり申請者である訪問介護 事業所と利用契約を締結している人 ②その要介護者が特定の市町村から介護 報酬を受ける資格のある人
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輸送範囲 |
府県単位の営業区域による |
ケアマネージャーの作成したケアプランに 基づく病院・医療施設 *ケアプラン以外の輸送は不可 |
運賃 | 認可を受ける必要がある | 届出 |
運転者 |
①2種免許が必要 ②セダン型の自動車を使用する場合は、介護 福祉士等の資格を有するか福祉タクシー乗務 員研修を修了いていること |
2種免許が必要 |
自己資金の審査 | 審査あり | 審査なし |
最低車両数 | 1台 | 1台 |
運行管理体制 |
運行管理者・整備管理者(委嘱可)・指導主任 者を選任 |
運行管理者・整備管理者(委嘱可)を選任 |
法令試験 |
毎月末までの申請について翌月の法令試験を 受けて合格する必要がある *合格するまで書類審査が行われない |
実施しない |
いかがですか?
「一般(4条)」の方は、申請法人の役員が法令試験を受けて合格できなければ、また翌月に試験を受けることになります。合格するまで書類審査が行われないので、いつまでたっても許可はおりません。
*法令試験は、道路運送法や施行規則、旅客自動車運送事業運輸規則、自動車事故報告規則等の法令から〇×方式30問で24問以上の正解で合格
一方、「特定(43条)」の方は、試験はありませんが、利用者も輸送範囲も限られてしまっています。
が、通院等乗降介助の算定のみが目的ならば、「特定」で充分かもしれません。
*弊所では、これらの違いやその他の要件についてわかりやすくご説明の上、申請手続きをお手伝いします。
訪問介護事業者さんが、上の「一般」か「特定」の許可を取得後に、申請、取得できるのが自家用自動車有償運送(78条3号)許可です。
ヘルパーさんの車や社用車を利用し、白ナンバーのままで有償運送(通院等乗降介助に限られる)できるという許可です。
たとえば、
特定旅客自動車運送事業1台(青ナンバー)
自家用自動車有償運送3台(白ナンバー)
合計4台
の場合は、資格者でなくても運行管理者として選任できます。
特定旅客自動車運送事業1台(青ナンバー)
自家用自動車有償運送4台(白ナンバー)
合計5台 (5台以上)
になると、運行管理者は有資格者を選任し、届出が必要なので要注意!
介護タクシーの許可申請は、なかなかのボリュームで、要件も複雑です。
ご自身で許可申請に取り組み、時間をかけたけれど、あきらめて、行政書士に依頼したというのはよくある話です^_^